2020-01-01から1年間の記事一覧

銀河英雄伝説事典

田中芳樹,らいとすたっふ「銀河英雄伝説事典」読了。とはいえ事典や年表、用語解説を全て読むのは骨が折れるので流し読みして徳間文庫版解説再録を中心に。事典もランダムに読んだり、参照を辿って読むと楽しい。事典をもっと楽しむ方法、お待ちしておりま…

銀河英雄伝説外伝〈5〉黄金の翼

田中芳樹「銀河英雄伝説外伝〈5〉黄金の翼」読了。短編5本と作者インタビューからなる最終巻。インタビューは構成がやっぱり重要だなあということを再認識させられる。ようやくこれで銀英伝を全巻読み終えた。そして生協が閉まっていたので年末年始に読む本…

銀河英雄伝説外伝〈4〉螺旋迷宮

田中芳樹「銀河英雄伝説外伝〈4〉螺旋迷宮」読了。ヤンがパトリチェフ、ムライらと知り合う物語。外伝では特に田中芳樹の掛け合い漫才センスが遺憾なく発揮されている。この巻でのヤンは折木奉太郎を彷彿とさせる。ここまで読み進めるとDie Niue Theseの続編…

銀河英雄伝説外伝〈3〉千億の星、千億の光

田中芳樹「銀河英雄伝説外伝〈3〉千億の星、千億の光」読了。シェーンコップの巻と思われがちだけど、まだ若いラインハルトの落ち着いていない描写にゲラゲラ笑わされる。グリンメルスハウゼンからあるものを託された時の「俺!?」という反応とか。もう一箇所…

銀河英雄伝説外伝〈2〉ユリアンのイゼルローン日記

田中芳樹「銀河英雄伝説外伝〈2〉ユリアンのイゼルローン日記」読了。もちろん本編も面白いんだけれど巻末解説がここまで読んだ12冊の中でダントツに面白い。円城塔。本編でヤンがユリアンを「ユリアン、ユリアン」と呼ぶのに倣って編集者が円城さんを「円城…

銀河英雄伝説外伝〈1〉星を砕く者

田中芳樹「銀河英雄伝説外伝〈1〉星を砕く者」読了。偶然なのか何なのか文庫本の帯広告がホーガンの「星を継ぐもの」ということもあり「ホーガンからの引用か」と思ったらニーチェの「ツァラトゥストラはこう言った」かららしい。ということでポチる。かよう…

銀河英雄伝説〈10〉落日篇

田中芳樹「銀河英雄伝説〈10〉落日篇」読了。最も印象深いのはと問われればシェーンコップとカリンですと答える。カリンの慟哭のシーンは自分だったらどういう演出をするだろうかと妄想を巡らせてしまうほど。残るは外伝5巻。今年は積ん読がかなり消化された…

銀河英雄伝説〈9〉回天篇

田中芳樹「銀河英雄伝説〈9〉回天篇」読了。かの有名な「遅いじゃないかミッターマイヤー」という台詞は知っていて、それ故この巻でこの台詞が使われることも想像できたのだが、その情景を全く違うものと想像していた。けれどそうなのよね「遅かったじゃない…

銀河英雄伝説〈8〉乱離篇

田中芳樹「銀河英雄伝説〈8〉乱離篇」読了。3巻に引き続き泣く巻だと脅かされていたこの巻で泣く理由というのはもう分かってはいたのだけれども、その原因の描かれ方はある意味とても素っ気なく、そしてその後の周囲の反応というのも極めて抑制的で、それ故…

銀河英雄伝説〈7〉怒濤篇

田中芳樹「銀河英雄伝説〈7〉怒濤篇」読了。イゼルローン奪還の巻き。ビュコック、チュー・ウン・チェン、大好きでした。ビュコック戦死の報をヤンが受けたところを電車の中で読んでいたんだけど、ぼろぼろ泣けてしまってやばかった。しかし一番の問題は今回…

銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇

田中芳樹「銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇」読了。念願の年金(+新婚)生活を手に入れたヤンだが、敗戦故に年金が大幅カットというのは嫌なリアリティある。平穏な生活も数ヶ月で幕を閉じ、望むと望まざるとに関わらず混沌へ巻き込まれていくのでした。次巻でイゼル…

銀河英雄伝説〈5〉風雲篇

田中芳樹「銀河英雄伝説〈5〉風雲篇」読了。もう面白くてたまらない。なるほどこれは傑作。イゼルローンを放棄してラインハルトとの直接対決。なによりその激戦の幕間に訪れた一時の休息の間に行われたヤンのフレデリカへのプロポーズに悶絶する。読了後もこ…

銀河英雄伝説〈4〉策謀篇

田中芳樹「銀河英雄伝説〈4〉策謀篇」読了。皇帝簒奪、フェザーンの武力支配、それに対するヤン・ウェンリーの対抗策がいつ効果を発するのか、そうそう簡単に効果は現れないのではないか?というドキドキ感が良い。そして5巻を手に取り最初のページを開いた…

銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇

田中芳樹「銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇」読了。4巻を先に読んで知ってしまったユリアンの初陣、そしてヤン・ウェンリー不在の中イゼルローンvsガイエスブルク。「トップをねらえ!」等の影響により当然のようにガイエスブルク要塞をイゼルローンにぶつけるものだ…

銀河英雄伝説2 野望篇

田中芳樹「銀河英雄伝説2 野望篇」読了。ここでDIE NEUE THESEでの予習範囲はお終い。2巻と8巻がひどい(作者の人でなしっぷりが)と言われるが、そう聞くと8巻が楽しみである。そして今回の出張に3巻を持ってくるのを忘れてしまったので、読み物がなくなって…

ぼくらの哀しき超兵器

植木不等式「ぼくらの哀しき超兵器 軍事と科学の夢のあと」読了。僕は中学生の頃から植木不等式氏を敬愛してやまなかった。科学朝日の休刊は何より氏のコラムを読むことができなくなることに憤りを感じるほどだった。本書では氏の筆致が衰えるどころかノリノ…

銀河英雄伝説1 黎明篇

田中芳樹「銀河英雄伝説1 黎明篇」読了。DIE NEUE THESEでいうと14話ぐらいか。なるほど一作目からして傑作。何よりいかにして銀河帝国が生まれ、さらにそこから自由惑星同盟が生まれるかが描かれた序章に惹き込まれた。簡潔でありながら十分に劇的な背景が…

非合理性

リサ・ボルトロッティ,鴻浩介「非合理性」読了。心理学に係累を殺されたのかというほど心理学を蛇蝎の如く嫌う僕にとって、現代哲学のキーコンセプトシリーズを読み始めて以来初めて罵りたくなったが、最後でその認識に疑問を抱き、一ノ瀬正樹の解説で自由…

読書について 他二篇, 自殺について 他四篇

ショウペンハウエル「読書について 他二篇」「自殺について 他四篇」読了。後期の講義が始まると移動時間のおかげで読書が捗る。エーリッヒ・フロム以来のイライラ思想であった。ショウペンハウエルのヘーゲルに対するルサンチマンがマッハでヤバい。一応「…

メタ倫理学入門

佐藤岳詩「メタ倫理学入門」読了。ここ数年で最もわくわくする本だった。学生の頃からずっと疑問に思っていた倫理学の前提の如きもの、価値基準への疑惑が明快な表現で体系づけられて記述されている。著者のウィットに富んだ文体も楽しい。登場人物の元ネタ…

自由意志

ジョセフ・K・キャンベル,高崎将平「現代哲学のキーコンセプト 自由意志」読了。タイムリーなことに自由について、そして責任についてあれこれ考えていたところだったので、驚きと憤慨、そして理解不能に満ちた豊かな読書だった。一ノ瀬正樹の解説による概…

因果性

ダグラス・クタッチ,相松慎也「因果性」読了。久々の興奮。何かにつけて「相関関係は因果関係を含意しない」を持ち出す僕ですが、その因果がこれまでいかに扱われてきたか、議論を概略すると共に利点と問題点とを明らかにする名教科書。「現代哲学のキーコ…

HELLO WORLD if ー勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をするー

伊瀬ネキセ「HELLO WORLD if ー勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をするー」読了。伊藤智彦「HELLO WORLD」が傑作だったので、あのラストシーンから透けて見える「描かれていなかった世界」を知りたくて読んでみた。が、うーん。こういう要素を配置すれば整…

災害ユートピア なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか

レベッカ・ソルニット,高月園子「災害ユートピア なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか」読了。災害後にボトムアップで形成される互助共同体(ユートピア)と、混乱した官僚組織の暴走(エリートパニック)について述べられた本。著者の主張を補助するため…

いま世界の哲学者が考えていること

岡本裕一朗「いま世界の哲学者が考えていること」読了。第2章で酷い嫌悪感に襲われ吐き気を催すほどだったが自分を宥めて読み終えた。だが全ては「おわりに」に書かれてある。種を撒き、思わせぶりな導線でコラージュし、しかし解釈は読者に委ねる。自己嫌悪…

戦争は女の顔をしていない

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ,三浦みどり「戦争は女の顔をしていない」読了。ソヴィエトが二次大戦においてここまで女性が戦争に従事していたこと、そして戦後に自国民から彼女らがどういう扱いを受けたかについて、それを語る現代の穏やかさと戦…

熊と踊れ

アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ,ヘレンハルメ美穂,羽根由「熊と踊れ」上下巻読了。SecHack365のトレーニーのおすすめ。実際に起こった銀行強盗事件を題材にしたミステリー。著書の一人が犯人の関係者というのがウリかもしれないけど、…

失楽園

ミルトン「失楽園」読了。17世紀のキリスト教世界観が垣間見れる。特に地動説に関する言及がある点が興味深く、下巻の後書きにもミルトンとガリレイの関係について触れられている。とにかく厨二病小説を書く人であれば必読である。意図的にかアダムが実にア…